column コラム

2026/10/20 代表コラム

経営管理の第一歩は「正しい数字」ではなく「ブレない数字」を持つこと

経営管理を始めようとすると、多くの経営者が「うちの数字は正確なのだろうか」と不安になります。確かに、会計処理の精度は重要です。しかし、私が現場で感じるのは、完璧な数字を追い求めるあまり、経営管理そのものが止まってしまうケースが非常に多いということです。

経営管理において本当に重要なのは、「正しい数字」よりも「ブレない数字」です。多少のズレがあったとしても、同じルール、同じ基準で継続的に数字を把握できていれば、傾向や変化は十分に読み取ることができます。

例えば、在庫評価や工事進行基準など、中小企業では判断が難しい会計論点が多くあります。これらを完璧に処理しようとすると、専門家任せになり、経営者自身が数字から距離を置いてしまいがちです。それでは本末転倒です。

私がお勧めしているのは、「経営判断用の数字」と「決算・税務用の数字」を分けて考えることです。経営判断用の数字は、スピードと一貫性が命です。多少ラフでも構いません。重要なのは、毎月同じ切り口で見られることです。

また、経営管理を機能させるには、「見る数字を絞る」ことも欠かせません。売上、粗利、固定費、営業利益。この4つが安定して把握できていれば、多くの経営判断は可能です。KPIを増やしすぎると、かえって全体像が見えなくなります。

特に注意すべきなのは、「利益が出ているのに資金繰りが苦しい」状態です。これは経営管理が機能していない典型例です。損益とキャッシュの違いを意識し、資金繰り表を定期的に確認するだけでも、経営の安定度は大きく変わります。

経営管理は、最初から完成形を目指す必要はありません。むしろ、自社の規模や体力に合った形で、少しずつ精度を高めていくことが重要です。

次回は、こうした数字をどのように「行動」に結びつけるか、予算管理と実行管理の視点からお話しします。

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