人財育成のスピード
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの企業が厳しい経営状況となっています。
そのような環境でも企業活動は継続し、成長を続けなければなりません。
そこで全6回で、「成長する企業と衰退する企業の経営」についてお伝えしていきます。両社の経営の特徴6点「1.経営数値の管理 2.ミッション追求 3.アクションプランの実行力 4.人財育成のスピード 5.クリエイティブ発想 6.楽しむこと」について、具体的な事象も交えながら赤裸々にお伝えします。
今回は、「4.人財育成のスピード」についてお伝えします。
4.人財育成のスピード
経営者は継続的に企業利益を上げるとともに、人財を育成することにも注力しなくてはいけません。人財が成長しないと企業成長はないからです。またすべての企業と言っていいほど、人財育成に課題や問題点をもっています。今回は、その人財育成のスピードを上げる手法・考え方についてお伝えします。ポイントは(1)明確な人財像を設定、(2)人財育成計画の策定・運営、(3)柔軟な人事異動、(4)成長に対する評価の4点です。
(1)明確な人財像の設定
成長する企業は企業ミッションが明確であるいうことは前々回でお伝えしました。それと同時に、そのミッションを実現できる人財像が明確に設定されていることがポイントです。具体的には、職階や階級ごとに求めまられる「スキル、知識、姿勢、意識、パフォーマンス」等が明確に言葉で表現=定義されていることです。さらにその定義を経営者や管理者が、例示等を引用しながら具体的に説明できることが必要です。
(2)人財育成計画の策定・運営
明確な人財像を育成するスケジュールを立てることからスタートしますが、育成計画はまず長期的計画(5年後くらい)から作成します。その計画をブレイクダウンして1年間の育成計画を策定します。長期育成計画のポイントは、①年度ごとの人財目標を設定(到達するスキルレベルを定量的に明示にする)、②教育手段を明確にする(研修、OJT、eラーニングなど)、③計画実施状況を評価する方法を明確にする、です。経営計画を策定している企業でも、人財育成計画を策定していない企業は多くあります。
(3)柔軟な人事異動
人事異動や担当(エリア)替えを積極的に行うということです。ある程度の組織ができてくれば、分業化が進み業務分担が行われます。その中で人事異動が行われず同じ部署で人財が固定化すると、環境変化がなく、環境変化を嫌うようになり、保守意識を高めることに繋がります。またひとつの部署に長年在籍すると、全体最適の意識が低下するため、マネジメント力の向上が妨げられます。とくに赤字部門に在籍する従業員は、成長意欲を鈍化させる傾向にあるので、短いスパンで適性評価し、異動させることをお勧めします。
(4)成長に対する評価
人財が成長したことを評価する仕組みを構築することです。多くは人事考課のなかで実施されますが、その評価期間の最終時点の評価だけではなく、評価対象期間の期初から期末にかけてどれだけ成長したか、それは期待以上であるかを評価することが重要です。その評価が、従業員のモチベーションに大きく影響し、次の行動に対して明確な動機を与えます。
上記4つのポイントを実施することで、人財育成のスピードは確実にあがります。また人財育成計画に沿って人財育成を実施できれば、おのずと企業経営も安定してきます。成長する企業では、人財育成に多くの投資を行い、人財育成計画に沿ったスピード感のある人財育成を実施しています。