column コラム

2026/06/04 経営

値上げできる会社、できない会社の違い

原材料費やエネルギーコストの上昇に加え、人材確保のための賃上げなど、中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。しかし、多くの企業がコスト上昇分を十分に価格へ転嫁できておらず、利益率の低下に悩んでいることと思います。

こうした状況の中、同じようにコスト上昇の影響を受けながらも値上げできる企業と、なかなか値上げできない企業があります。その違いはどこにあるのでしょうか。

 

ポイントは、「価格競争」ではなく「価値競争」ができているかどうかです。

価格だけで選ばれている企業は、競合より安くなければ選ばれません。そのため値上げを行うと顧客離れが起こるのではないかという不安が常につきまといます。一方で、自社独自の技術力や品質、サービス、提案力、対応スピードなどが評価されている企業は、多少価格が高くても顧客から選ばれ続けます。

例えば飲食店であれば料理だけでなく、そのストーリー、接客や店舗の雰囲気も価値になります。製造業であれば品質はもちろん、短納期対応や技術提案、トラブル時の迅速な対応なども重要な付加価値です。顧客が「この会社(店)だからお願いしたい」と感じる理由を持っている企業ほど、価格競争に巻き込まれにくくなります。

 

また、値上げを成功させている企業は顧客へもきちんと説明を行っています。単に「原材料費が上がったから値上げします」と伝えるのではなく、「品質を維持するため」「安定したサービスを提供し続けるため」「人材育成や従業員の待遇改善のため」といった値上げの背景を丁寧に説明しています。

さらに、自社の原価構造や利益率を把握することも重要です。経営改善の現場では、実際に商品別・取引先別の採算を分析すると、利益が出ていると思っていた商品や取引が赤字だったというケースも少なくありません。値上げの前に、自社がどこで利益を生み、どこで利益を失っているのかを把握することが必要です。

 

今後も賃上げや物価上昇の流れは続くと予想されます。価格を上げられない企業は利益が圧迫され、人材投資や設備投資ができなくなり、結果として競争力を失う可能性があります。

経営者に求められるのは、「いくらで売るか」だけではなく、「なぜ選ばれるのか」を明確にすることです。価格だけではなく価値で選ばれる企業になることが、これからの時代を勝ち抜くための重要な経営課題になるかと思います。

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