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2020/01/30 財務

いざという時に!「会社のお金」にまつわるお話(第29話)《クラウドファンディングの活用》

(第29話)

300社以上の経営を支援してきた経営改善の専門家が、資金調達方法としてメジャーとなってきたクラウドファンディングについて、その概要と活用方法をご紹介します。

 

《クラウドファンディングの活用

 

1.クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、群衆という意味のクラウド(Crowd)と、資金調達という意味のファンディング(Funding)の二つを合わせたワードです。つまり、群衆による資金調達という意味となります。

クラウドファンディングは、起案者がWeb上で資金提供を広く呼びかけることによって、支援者から資金を調達することが出来ます。また、顧客・支援者・ファンづくり、商品・サービス・イベントのプロモーション、テストマーケティング、新商品・サービスの提供など資金調達以外のメリットも沢山あります。

クラウドファンディング市場は急激に増えており、2014年度は22,191百万円だったものが、2018年度には204,499百万円と4年で9.2倍と伸びを見せています。

実は、クラウドファンディングは行政が利用を推進しています。「ものづくり補助金」「小規模事業者持続者補助金」など、クラウドファンディングを利用すると審査で加点対象となります。また、地方自治体によっては、クラウドファンディングを利用すること自体が補助金の対象となっている場合もあります。

クラウドファンディングを使うメリットとしては、マスコミやメディアに取り上げられやすい、継続的な顧客、支援者、ファンとの関係を作りやすい、検索上位に表示されやすい、クラウドファンディングをしたプロジェクトがサイトに残るため、商品やサービスが多くの人の目に届きやすいという点があげられます。

 

2.クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングは、大きく投資型と非投資型にわかれます。

投資型には、ファンド型、株式型、融資型があり、非投資型には購入型と寄付型があります。

次の図のようになりますので、どのような方法が良いのか特長をしっかりと把握したうえで利用を考えていきましょう。



 

3.投資型クラウドファンディング

投資型はその名の通り投資ですので、金融商品の一種となります。

ファンド型は、お金を投資したリターンに「商品やサービス」と「配当」を受け取れる一石二鳥なクラウドファンディングです。しかしながら、約2割は元手を下回っているとも言われ、利益を追求するという点ではリスクが高く、純粋に出資者がプロジェクトや事業を応援したいという社会的貢献の要素が強いことが特徴です。代表的なサイトにセキュリテやSony Bank GATEなどがあります。

次に株式型ですが、全く新しいビジネスに対して、「少額でベンチャー企業に出資したい」という一般の人から投資を募って、株式を発行するものです。つまり、リターンとして非上場企業の株式を取得することが出来ます。個人が少額で投資できることで、企業・サービスの初期段階から応援でき、かつ将来的にリターンとして売却益を得る可能性ができるというメリットがあります。しかしながら、IPOやM&Aといった出口がない限りは、取得した非上場企業の株式は自由に売却できません。さらに、資金調達をしたい企業は年間に1億円未満、また投資家は1社に対する年間投資金額が50万円までといったルールがあります。実際、サービスが始まって間もないこともあり、まだ大きな実績はあがっていません。代表的なサイトにFUNDINNOやGoAngelなどがあります。

最後に融資型は、ソーシャルレンディングとも呼ばれ、資産運用を行いたい投資家と資金ニーズのある企業をマッチングするプラットホームサービスです。運営者がWebサイト上でファンドを組成して、投資家から小口で資金を集めます。企業はそのファンドによる調達資金で融資を受け、金利分を含めて運営業者に返済します。投資家は投資元本に加え、利率から運営業者の手数料を差し引いた金額が利回りとして分配されます。代表的なサイトにCROWD CREDITやmaneoなどがあります。

 

4.非投資型クラウドファンディング

非投資型クラウドファンディングは、その目的に共感することや、好きな商品やサービスを応援し、その見返りを享受するといった、お金を出す動機が明確でわかりやすいという特長を持っています。

購入型は、新しい商品やサービスを創造したいと考えているが、資金が無い場合や、お金を借りたくても借りれない場合に、インターネットを通じて資金を調達するための仕組みです。ただし、商品やサービスの開発が失敗すると、投じたお金はムダになってしまいますので、これを利用した詐欺などが存在する可能性は否定できません。信頼の置けるサービスを利用しましょう。代表的なサイトとしては、READY FOR、CAMPFIRE、Makuakeなどが有名です。

次に寄付型は、NPO法人や研究機関・大学の研究室、地方の地域活性化プロジェクトなどによる寄付です。主に「社会貢献的な活動」を行っている団体が、寄付を集めるための仕組みとなります。目標金額を達成した場合も、見返りが発生しないのが特徴です。寄付になりますので寄付控除が受けられ、節税効果は期待できるでしょう。代表的なサイトとしては、LIFULLやふるさとチョイスなどがあります。

 

5.クラウドファンディングの成功のポイント

クラウドファンディングを成功させるポイントは3つあります。それは、「共感」「リターン」「アピール」です。

はじめに「共感」です。共感を得るためには、信頼感がなければ得られません。具体的には、プロジェクトの内容を分かりやすく伝え、どんな事業内容で資金の使途は何なのかを明確にしていきましょう。また、これまでの実績や利用者による感想、その他支援者の存在をアピールすることによっても信頼感が得られます。そして、なぜこれに取り組むのか、ターゲットは何なのか、内容を文章だけでなく画像や動画を織り込んで作っていくことで信頼感が増し、共感を生むことにつながっていきます。

次に「リターン」です。実際にリターンの設定は成果に大きく影響されます。金額だけではなく魅力的な商品やサービスも含みます。いわゆるテストマーケティングでもありますので、魅力的な部分を引き出して支援者を増やしていきましょう。

最後に「アピール」です。お金を使わなくてもできるアピール方法としてSNSによる拡散やマスコミへのプレスリリースなどの方法があります。また、取引先や知り合いに声がけして、様々なルートを使って地道にアピールしていくことが最終成果につながります。

 

6.まとめ

これまでお伝えしたように、クラウドファンディングには様々な手法があります。「何を」「いつ」「どこで」「だれが」「なぜ」「どのように」という受け手が共感できるストーリーを築いたうえで、一番効果的な手法を選択しましょう。あとは、情報の目新しさを利用して一気にスタートダッシュできれば、成功をぐっと引き寄せることができます。

最近身近になってきたこのクラウドファンディングを有効活用して、是非とも新たなビジネス展開の突破口にしていってください。成功をお祈りいたします。