自社は今どこにいるか?フェーズ別(再生・改善・拡大・衰退)経営戦略の重要性
経営において「正しい施策」を実行しているはずなのに、なぜか結果が出ない――。そんなお悩みを抱える経営者は少なくありません。その原因の多くは、施策の良し悪しではなく、「自社の現在のフェーズ(段階)と戦略が合致していないこと」にあります。
企業経営には人間と同じように「ライフサイクル」が存在します。現在のフェーズを見極め、適切な経営戦略を選択することの重要性について、実例を交えて解説します。
1. 「4つのフェーズ」と採るべき戦略・実例
① 再生フェーズ(危機的状況からの脱出)
- 求められる戦略: キャッシュフローの確保と事業の「選択と集中」
- 実例: 赤字が続く地方の製造業A社では、売上回復を目指した新規営業(拡大施策)を一旦止め、不採算商品の撤退と在庫・固定費の徹底削減に注力しました。資金の流出を止めたことで、わずか半年で資金繰りを安定化させました。
② 改善フェーズ(既存事業の磨き上げ)
- 求められる戦略: 業務効率化・粗利の最大化・既存顧客の深耕
- 実例: 業績が横ばいだった建設業B社は、現場ごとの原価管理を徹底するデジタル化を推進。無駄な残業代や資材ロスを削減し、売上規模を変えずに営業利益率を5%改善させました。
③ 拡大フェーズ(さらなる成長への投資)
- 求められる戦略: 新規開拓・組織化・設備や人材への投資
- 実例: サービス業C社は、店舗運営の手順を標準化して「社長依存」から脱却。店長層へ権限移譲を進めることで組織の基盤を固め、2年間で3店舗の新規出店を成功させました。
④ 衰退・転換フェーズ(事業の再定義)
- 求められる戦略: 既存事業の収縮と、新領域へのリソースのシフト(事業再構築)
- 実例: 印刷業D社は、紙媒体の需要減退を見越し、長年培ったデザイン力を生かしてWeb制作やEC支援事業へ進出。既存の印刷事業を徐々に縮小しつつ、新規事業を主力へと育て上げました。
2.「フェーズのミスマッチ」が引き起こすリスク
最も危険なのは、自社のフェーズを見誤ることです。例えば、資金繰りが厳しい「再生期」にある企業が、一発逆転を狙って「拡大期」のような無理な投資を行えば、倒産リスクは一気に跳ね上がります。反対に、「拡大期」に攻めの投資を恐れて「改善期」の節約ばかりに終始すると、成長のチャンスを逃して競合に敗北してしまいます。
まとめ:自社の「今」を客観的に知ることから
経営戦略に万能の正解はありません。「何をやるか」と同じくらい「いつやるか」が重要です。まずは一度立ち止まり、自社が4つのフェーズのどこに位置しているのかを客観的に把握することから始めてみてはいかがでしょうか。