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2024/09/20 補助金

補助金の活用について

中小企業を取り巻く経営環境は、コロナの流行や原油・原材料価格の高騰、人材不足など、厳しい状況にあります。こうした中で国や自治体は、窮地にある中小企業を救済する、中企業の新事業展開を後押しする等を目的とした補助金制度を強化しています。今回は、中小業の補助金活用についてご紹介いたします。

補助金の意義と役割
・ 補助金は、国や自治体の政策に合わせて、さまざまな分野で募集されており、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するというものです。財源は公的資金から出されるものであり、応募すれば誰でも受け取れる訳ではなく、所定の書類を揃えた上で、申請や審査を経て採択事業者が決定されます。
・ 国からの予算が大きい、代表的な補助金をいくつかご紹介いたします。

補助金を活用するメリット
・ 補助金を活用するメリットは、大きく以下の3つです。①のような金銭面に目が行きがちですが、その他にも注目すべきメリットはあります。
①返済不要の事業資金を得られること
こちらは説明不要でしょう。数十万円から大きいものでは数十億円規模まで、返済不要の事業資金が調達できます。
②経営を見直す機会となること
補助金の多くが、申請時に事業計画の提出が必須となっています。採択されるべく計画に作り込んでいくわけですが、その際に自社の経営を第三者目線(審査員目線)で見つめ直す機会となります。
また補助金は採択されて終わりではなく、数年にわたり対象事業の実施状況を定期的に報告する必要があります。タイムリーに、精緻に自社の事業を把握すべく、情報共有の仕組みや社内体制を見直す機会ともなります。
③採択実績が自社のPRとなること
補助金が採択されたということは、その事業は国や自治体のお墨付きを得たことにもなります。また採択の際にHPで企業名が公開されたり、採択事例としてインタビューを受けたりすることもあります。

補助金を活用する上での注意点
・ 様々なメリットが期待できる補助金制度ですが、補助金の申請や利用は国・自治体が定める厳格なルールのもと行う必要があります。例えば、以下の図は18次ものづくり補
助金の公募スケジュールです。申請し採択された後も、交付申請→交付決定→事業実施→中間検査→実績報告→確定検査→補助金請求→補助金支払と、補助金を受け取るまでには更に手間と時間がかかります。こうしたルールから逸脱した取り組みを行った場合、採択・支払後でも補助金の減額や返還が求められる場合があるため、注意が必要です。

出典:ものづくり補助金 公募要領(18次締切分)1.0版

ものづくり補助金HP

・ 補助金を活用する上での注意点について、多くの補助金に共通するものをいくつかご紹介いたします。
①補助金は後払いであること
補助金は、企業が実際に支払った明細書等を根拠として
支払われる後払い形式が一般的です。そのため、申請した事業総額と同額の資金を手元に用意しておく必要があります。
②補助金受給後も定期的な報告義務や検査が発生すること
補助金受給後も数年間にわたり、対象事業が計画に沿って行われているかを定期的に報告する必要があります。事務手続きが発生するため、時期によっては大きな負担になる場合もあるでしょう。
また補助金を受けた企業に対し、会計検査院の検査が入ることもあります。検査にて問題が見つかれば、補助金の返還が必要になる上、悪質な場合は訴追される可能性もあります。
③ 期間内における取得資産の目的外使用や廃棄等は制限されること
②と同じく補助金受給後数年間は、対象設備が既存事業にも流用できるから、対象事業の業績が芳しくないから等といっても、取得資産を対象事業以外に使用したり、売却・廃棄したりすることは制限されています。

自社に合った補助金の選び方・探し方
・ 国・自治体の予算状況等によって、毎年補助金の新設・廃止、要件の変更等が起こっています。特に今後は、ウィズコロナからアフターコロナへの社会の変化に伴って、コロナ禍に登場した補助金の見直しや観光分野等での補助金拡大など、補助金の様相も変化していくと思われます。補助金の変化、先に挙げた注意点等を自社だけで全て把握することは不可能でしょう。自社に合った補助金を探す上で参考となるサイトや相談先について、いくつかご紹介いたします。
・ 中小企業支援サイト:ミラサポplusやJ-Net21など。公的機関や認定経営革新等支援機関が運営するサイトで、条件を入力し全国の補助金を検索できます。
・ 公的経営相談窓口:商工会議所や中小企業基盤整備機構、よろず支援拠点など。都道府県・市町村単位で設置されており、中小企業診断士等の専門家へ無料で相談ができます。
・ 認定経営革新等支援機関:中小企業へ専門知識をもとに経営支援を行う企業・個人。全国で約40,000者が登録しており、専用サイトで検索することができます。
・ 利用中の金融機関や税理士法人:まずは自社を良く知る金融機関担当者や税理士に相談するのも良いでしょう。

補助金の活用事例
九州地方のある企業は、業務用冷凍ケーキの製造とフレンチレストランの運営を行ってきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、主要取引先であるホテルやテーマパークへの納品が減少し、売上が大幅に減少しました。特に、外出や外食を控える高齢者の増加が大きな打撃となり、2020年比で売上が25%減少しました。これに加え、原材料費の高騰や光熱費の上昇もあり、既存事業だけでは継続が困難な状況に直面しました。
そこで、新たな収益の柱を構築するため、これまでの強みであるフレンチ料理と冷凍ケーキの技術を活用し、「デザート介護食事業」に挑戦することを決断しました。特に、栄養価が高く、咀嚼しやすい形状にした美味しいデザートを開発し、高齢者や療養中の患者向けに販売する計画を立てました。
計画が固まりつつある中、新規事業に必要な厨房機器などの設備の導入や工場の改装を行うにあたり、「事業再構築補助金」の申請にチャレンジしました。
結果、採択を受け、設備投資総額3,000万円の2/3である2,000万円の補助金(*)を受けることができました、
この新たな挑戦を通じて、困難な時代においても成長を続け、お客様に「食べる楽しみ」を提供する企業であり続けたい、と社長は社員の皆に伝えたとのことです。
(*)補助金額と補助率は申請枠や事業規模により変わります。

まとめと展望
経営環境の変化は中小企業にとって大きな脅威ではありますが、それと同時に、魅力ある新たな産業や、業務効率化に資する新たな技術が生まれていることも事実です。変化する環境に対応し持続的な成長を実現するために、そうした産業への進出、技術の導入を支援する補助金制度をぜひご活用ください。