「来年度の補助金の概要について」
来年度の補助金の概要について
令和4年12月23日に経済産業省から、令和5年度「中小企業・小規模事業者・地域経済関係予算案等のポイント」が公表されました。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/r4_jigyo_saikoutiku_summary.pdf
①成長分野等への挑戦に向けた投資の促進
②創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進
③地域課題解決に向けた取組への支援の拡充等
④伴走支援・人材確保支援等、のために予算が配分されています。
● そのなかで、①成長分野等への挑戦に向けた投資の促進のために予算化された主な補助金としては、次のものがあります。
中小企業等事業再構築促進事業【5,800億円】
(①事業再構築補助金)
中小企業生産性革命推進事業【2,000億円】 ※国庫債務負担含め総額4,000億円
( ①ものづくり補助金、②小規模事業者持続化補助金、③IT導入補助金、④事業承継・引継ぎ補助金)
● ここでは、引き続き予算化されたものの、大幅に枠組みが変わる「事業再構築補助金」を取り上げます。
「事業再構築補助金」
第10回公募
令和4年度第2次補正予算での事業再構築補助金の事業目的に、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、「物価高騰等」の影響への支援、「感染症等の危機に強い事業への大胆な事業再構築の取り組み支援」、「中小企業等の付加価値額向上や賃上げ」等の文言が記載されたことにより、申請類型・申請要件等も変更されています。
第10回公募以降の「事業再構築補助金」では、それぞれの枠の対象となる事業者が明確になり、事業の目的にあわせた支援が受けられるようになった一方で、枠によって申請要件・補助上限額等が大きく異なっています。
主な変更ポイント
成長枠の創設
旧通常枠に相当するものですが、成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者に対する支援であること、売上高減少要件を撤廃したことが特徴です。
グリーン成長枠の拡充
グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者への支援を継続し、 要件を緩和した類型(エントリー)が創設されています。
産業構造転換枠の創設
国内市場の縮小等の産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者に対し、補助率を引き上げる等により、重点的に支援し、対象経費に廃業費を追加し、廃業費がある場合は補助上限額を上乗せするとされています。
サプライチェーン強靱化枠の創設
海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に取り組む事業者(製造業)を対象とするものです。補助上限額を最大5億円まで引き上げて支援されます。
物価高騰対策・回復再生応援枠の継続
第9回公募までの、回復・再生応援枠と緊急対策枠を統合され、新たに設けられた枠です。
詳細は事業再構築補助金の事務局HPをご覧ください。
第10 回公募以降の「事業再構築補助金」の活用
上記のように、第10回以降の事業再構築補助金は、枠組みが増えて各種要件が緩和されるため、これを機会にこれまで申請を見送られていた事業者様も活用をご検討されてはいかがでしょうか。また、10回目以降は、グリーン成長枠とサプライチェーン強靭化枠について、要件を満たせば2度の申請・採択が認められるようになっています。
過去の「事業再構築補助金」特別枠の採択事例
【事例1】事業再構築補助金事務局HP掲載事例
A社(飲食サービス業、イタリア料理店経営)
申請経費: セントラルキッチンの設置に関する費用
計画概要:「 レストランから飲食料品小売業に業態転換して事業再構築」
A社の強み
・ 地元産のヨーロッパ野菜など食材にこだわった料理が好評
・ 生産者と協力して商品開発や学校給食への提供等、地産地消で地域貢献
新規事業への設備投資・補助金活用を実行した経緯
・ コロナ禍における緊急事態宣言や時短・会食自粛の影響で、売上7割減
・ 地元生産者においては、外食の需要減により、作った野菜の出荷が止まってしまう事態となった
・ 新たな収益源を確保して強い経営体質をつくるとともに、地元産食材の販売の機会を創出したいと考えた
再構築事業計画
・ 開業25年の第1号レストランを、地産地消セレクトショップに改装して、地元産食材のブランド商品を開発/販売する拠点とする
・ 非接触型オーダーアプリを開発し、従業員の業務効率化と消費者に対する地元産食の訴求やストーリーの発信を行うなど、ファンの獲
得に取り組むことで、売上を獲得する
・ 既存設備を撤去し、新たにセントラルキッチンを整備し、販売用製品の加工と既存店舗のレストランの仕込みを一緒に行うことで、生
産性を向上させ、収益を確保する
補助金採択後に期待できる変化
・ シェフの職人としてのプライドを満たしながら事業を継続でき、収益を獲得できる
・ 地域の若手生産者が、やりがいを持ち、事業を続けるに値する経営状況を実現し、農家の事業承継と地域貢献に繋がる事業となる
【事例2】弊社支援事例
B社(光学フィルム製造業)
申請枠:グリーン成長枠
申請経費: 機械装置・システム構築費(新ラインに導入する機器)
計画概要:「 次世代パワー半導体に必須の高耐熱仮接着シート貼り合わせ技術力の強化」
B社の強み
・ 光学フィルムを貼り合わせする技術力・高品質な製品を製造する仕組み
・ 大手メーカーから依頼されるほどの開発力
新規事業への設備投資・補助金活用を実行した経緯
・ 次世代パワー半導体の市場で日本のメーカーのシャア拡大が期待されている
・ グリーン成長戦略「実行計画」14分野のうち、半導体・情報通信産業における「パワー半導体の高性能化」に係るものである
・ 加工依頼先のフィルムメーカーから強い要望があり、受注が見込める
・ 自社の強みである技術力を活用し、開発・加工可能である
・ 自社仕様の機器をメーカーと共に開発し導入を決意
再構築事業計画
・ 次世代パワー半導体等の成長分野を新市場として選択、経営資源である加工技術を集中投下し、高耐熱仮接着シート製造のための貼付技術の開発・及び量産化を実現することで、V字成長を図る。
・ 具体的には、高耐熱仮接着シートを使用する半導体メーカーの要求水準を満たすため、外注しているスリット工程の内製化、及び高熱高圧着可能なプレス機を導入し、当社の得意技術をさらに強化する。
・ 本事業は、半導体産業のグリーンofデジタルの課題を解決することに繋がる。
補助金採択後の変化
・ 設備導入することで取引先からも高評価が得られ、受注を確定させることで売上の増加が期待できる。
・ 既存事業についても設備投資計画を策定し、既存ラインのリードタイム短縮化と省力化を図るオリジナル機器の導入にものづくり補助金を申請され採択された。
補助金活用のメリット
・ 既存事業・新規事業に必要な設備投資を、補助金を活用して行うことで、資金負担が抑制できます。投資効率や投資回収期間が明確となり、経営者は次の一手が打ちやすくなります。
・ 自社の事業の棚卸を行い、事業計画を策定したことで課題が明確になり、現場と課題を共有し、共に解決策・改善策を策定し実行する取組を始めるきっかけとなります。