「~アナログからの脱却~ IT 導入補助金」
「~アナログからの脱却~ IT 導入補助金」
昨今では、人材不足によりIT 導入を検討されている中小企業は非常に多くなってきていると思います。本コラムでは、そのような中小企業が補助金を活用できる「IT 導入補助金」を紹介しております。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者・個人事業主のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートすることを目的にしており、IT導入・DX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上を支援するものとなっております。
補助額は最大で450万円、補助率は1/2~3/4です。
IT導入補助金の枠と類型は以下の通りです。
<通常枠>
・ 生産性の向上に資するITツールの導入費用が支援対象となる。
・ A類型とB類型があり、どちらも補助率は1/2だが、補助金申請額に違いがある。
<デジタル化基盤導入類型>
・ インボイス制度への対応を見据え、会計・受発注・決済・ECソフトに加え、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入費用も支援の対象となる。
・ 令和4年度第2次補正予算より、安価なITツール導入も支援すべく、補助下限額が撤廃される。
<複数社連携IT導入類型型>
・ 複数の中小企業・小規模事業者等が連携して地域DXの実現や生産性向上を図る取組が支援対象となる。
<セキュリティ対策推進枠>
・ 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているセキュリティサービスの利用料が支援対象となる。
※詳細は以下の図を参照ください
※【中小企業庁 – 令和4年度第2次補正予算関連 – IT導入補助金 より抜粋】
【事例1】 運輸業者
抱えていた経営課題
・ 売上、入金、請求をExcelや手書き伝票で管理していたため非効率で、事務スタッフの労働時間が増加していた。
・ 請求書はハンコ印でペーパーレス化が進んでいなかった。
・ 過去の売上実績データもデジタル化されておらず、確認に時間を要していた。
導入後の変化、効率化された業務
・ 月次、年次の売上・入金管理、請求書発行まで、ツールで一元管理できるようになった。
・ 過去数年分の数値が1画面で容易に確認できるようになり、将来の売上戦略を立てやすくなった。
・ 手書きの帳簿をすべての電子化することができた。また、請求書のフォーマットが統一化でき、印鑑も電子印になった。
成果
売上集計の処理時間が30%以上短縮!
・ 事務作業全体の時短が実現。
・ 手作業等に起因する計算ミスによる誤請求がなくなった。
・ 押印の手間がなくなった。
・ 他の業務(労務管理、社員教育等)のIT化を進める自信がついた。
【事例2】 卸売業
抱えていた経営課題
・ 仕入業務担当者の交代により、慣れない新担当者による業務の遅れが常態化
・ 日々変動する仕入れ価格、需要を数値化しておらず、前任者の勘に頼っていたことが判明
・ 取引に係る社内ルールが明確になっておらず、引継が困難
導入後の変化、効率化された業務
IT導入支援事業者と共に業務フローを確認し、販売管理システムを導入。
発注から原価計算までの事務作業を分担化・効率化
成果
得意先の需要予測や仕入単価の推移、最適な仕入先の選定などのデータが可視化!
・ ツールを活用し、取引先ごとに異なる商習慣の流れを一元化
・ 経営の全体像が把握できるようになった
・ データ活用により売上アップに直結できた
【事例3】 介護事業
抱えていた経営課題
・ ケアプラン作成や介護給付費の請求といった社内業務を行う時間の捻出が難しくなり、夜間や休日に出社して業務をこなす状況
・ テレワークの導入が進んでいない
導入後の変化、効率化された業務
クラウド型の介護業務支援ソフトの導入により、在宅勤務が可能になった
成果
テレワークで柔軟な働き方が可能に!
・ ノートPC があれば、出先や車の中でも社内業務を滞りなく行えるようになった
・ テレワーク可能としたことで、求人の応募数が増加
・ データがクラウド上に保存されることで、BCP対策が強化された
※【参考】IT導入補助金 活用事例/中小機構
【インボイス制度に対応】
2023年10月1日から導入されるインボイス制度により、請求書の記載事項が区分記載請求書等方式から適格請求書等保存方式に変更する必要に迫られております。
そのため、事業者のみなさまは受発注システム等の改修や各種ツールの導入など、様々なシステム対応を検討されているかと思います。
IT導入補助金では、そのようなインボイス対応に伴う会計ソフトや受発注システムなどのITツールの導入、またそれらを用いるパソコンやタブレット、レジなどのハードウェア導入に対して支援する「デジタル化基盤導入枠」が2021年度補正予算より新設されました。
また、「デジタル化基盤導入枠」は2022年度2次補正予算より、補助下限額が撤廃されることにより、より安価なITツールの導入にも対応可能となり、より利用しやすくなります。
【利用イメージ】
本事業は申請者の方が単独で交付申請することはできず、「中小企業・小規模事業者等(申請者/補助事業者)」と「IT導入支援事業者(ITベンダー・サービス事業者)」の2者で交付申請作業を行い、「IT導入補助金事務局」から交付決定が行われます。
※上図は通常枠、デジタル化基盤導入類型、セキュリティ対策推進枠の場合
以上、IT導入補助金を紹介してきました。
インボイス制度や電子帳簿保護法、業務効率化に対応するべく、企業は急速なDX化を迫られています。
IT導入補助金では、IT導入事業者と相談しながら自社に適したITツールを選定することができます。
是非ご活用ください。