column コラム

2026/09/03 その他経営

AIを「もう一人のアシスタント」にする経営支援の現場

経営コンサルタントとして企業支援に携わっていると、日々の業務の多くが「地道な分析作業」であることに気づく。経営改善計画書のための売上シートの数値精査、金融機関向け資料の財務分析——。

どれも重要だが、時間のかかる定型作業だ。最近、私はこうした業務の一部にAIを活用している。

たとえば、ある旅館の経営改善計画では、複数の部屋タイプごとに稼働率と単価の掛け合わせルールが異なる売上推移シートを扱う必要があった。条件を整理してAIに渡せば、ルールに沿った数値の反映や整合性チェックを素早くこなしてくれる。

ある製造業の営業戦略づくりでは、Excelベースの案件管理ツールの設計を一緒に詰めることもあった。
ここで強調したいのは、AIが「コンサルタントの代わり」になるわけではないという点だ。どの数値に意味があるか、経営者にどう伝えれば納得感を持ってもらえるか、金融機関がどこを見るか——こうした判断はあくまで人間の経験に基づく。

AIが担うのは、その判断を実行に移すまでの「手数」の部分である。資料の下書き、計算の反復、複数パターンのシミュレーション。これらをAIに任せることで、コンサルタントは経営者との対話や仮説の検証により多くの時間を割けるようになる。

中小企業支援の現場は、一社一社の事情が異なり、汎用的なテンプレートが通用しにくい世界だ。だからこそ、AIを「思考の代行者」ではなく「作業の伴走者」として位置づけることが重要だと感じている。道具は変わっても、経営者の課題に向き合う姿勢そのものは変わらない。

むしろ、作業の負荷が減った分、本質的な議論に向き合う時間が増えたというのが、実際にこの働き方を続けてみての実感である。

 

Top