未知の数字をどう推定する? ビジネスに役立つ「フェルミ推定」の思考法
今回は、未知の数字を論理的に導き出す思考法「フェルミ推定」について、その手法と実務での活用方法について解説します。
~ フェルミ推定とは ~
フェルミ推定とは「日本に猫は何匹いるか?」「○○駅前の飲食店の売上は?」など実際に調査することが難しい数量や規模を短時間で推定する手法です。
フェルミ推定を進める上で鍵となるキーワードは「前提の確認」と「要素の分解」であり、以下の4つのステップで進めます。
1.あいまいな言葉の前提を確認し、求める範囲を特定する
2.分からない要素を分かる要素まで分解する
3.計算を実行する
4.振り返り、修正・改善点を洗い出す
~ フェルミ推定の型と具体例 ~
- 例題①:日本にいる猫の総数
まず「日本にいる猫」を「家庭で飼育されている猫」と定義を絞ります(前提の確認)。
次に、「飼い猫数 = 世帯数 × 猫飼育率 × 1世帯あたり平均飼育数」というイメージしやすい要素に分解します。
そして、日本の世帯数(約5000万)、感覚的な飼育率(10%)、平均飼育数(1.1匹)を掛け合わせ、約550万匹と推定します(※実際の2023年度データでは約907万匹)。
これ以外にも、動物病院の数から逆算するなど、答えへのアプローチ方法は無数にあります。
- 例題②:飲食店の売上高
「客数 × 客単価」をさらに深掘りし、「席数 × 稼働率 × 回転率 × 単価(フード・ドリンク) × 営業時間」と細かく分解します。ランチ帯や夕食帯など、時間帯ごとの客入りの違いも加味して計算を実行します。
~ フェルミ推定を日々のビジネス・経営に活かすには ~
フェルミ推定を通じて身につく「思考のくせ」は、特定の専門職だけでなく、経営判断や日々の業務における課題解決に応用できます。
- A. 曖昧な依頼や言葉の前提を確認し、仕事の「ズレ」をなくす
例えば「ある業界の市場動向を調べる」といった業務や指示において、業種(大型か小口か等)や対象エリアなどの前提を事前に明確にする思考が身につきます。顧客の要望や上司の指示に対して「求める範囲」を最初に特定することで、的外れな作業や浅い分析になることを防ぎ、業務の生産性を高めることができます。
- B. 要素を分解し、見えない市場の推計や自社の「ボトルネック」を特定する
新規事業やニッチな市場等でも、要素に分解することで論理的な推計が可能になります。 さらに、この要素分解は自社の業績改善にも直結します。例えば、飲食店の売上を単に「客数×客単価」と捉えるのではなく、「時間帯 × 席数 × 稼働率 × 回転率 × 単価(フード・ドリンク)」まで細かく分解して分析します。そうすることで、「ランチ帯は高稼働だがディナーの稼働率が低い」「食事は出るがドリンクの売れ行きが悪い」といった具体的なボトルネックが可視化され、より解像度の高い、効果的な改善策を立案できるようになります。
このようにフェルミ推定は、未知の数字を導き出すだけでなく、データ不足の状況下での意思決定や、自社の課題特定・解決策の立案に応用が可能です。