
令和8年度概算要求にみる中小企業支援の方向性
2025年8月29日に公表された「令和8年度 中小企業・小規模事業者・地域経済関係 概算要求等ポイント」は、中小企業を取り巻く厳しい環境を乗り越え、持続的な成長を実現するための具体的な支援策を示しています。
今回は、その概要と企業にとっての活用ポイントを整理していきます。
まず注目されるのは、依然として続く物価高や人手不足への対応です。
価格転嫁を円滑に進めるための交渉支援や下請法の執行強化、日本政策金融公庫による利子補給といった金融面の後押しが継続されます。
これにより、企業は仕入れコスト上昇などの負担を吸収しつつ、健全な資金繰りを確保する道筋が整えられるといえるでしょう。
次に、省力化投資と成長投資支援の再編が挙げられます。
特にカタログ方式を活用した「省力化投資補助制度」は、現場で必要な機器を迅速かつ分かりやすく導入できる点が特徴です。また、中堅・中小企業による拡張的な設備投資を後押しする「大規模成長投資補助金」も新設され、労働力不足の解消と生産性向上を同時に図る政策的意図が見て取れます。
これらは今後の事業計画において、投資判断を後押しする有力な選択肢となるでしょう。
さらに、成長分野に対応した支援の拡充も見逃せません。
大学や研究機関との共同研究を促進する仕組みや、専門家による「イノベーション・プロデューサー」を活用した研究開発支援が盛り込まれています。加えて、越境ECやグローバルブランディングを支える海外展開支援、GX推進を意識したカーボンニュートラル対応の支援制度など、未来の市場を見据えた政策群が並びます。
成長志向を持つ企業にとって、新たな挑戦を実行に移す絶好の機会となるはずです。
最後に、地域や小規模事業者を対象とした伴走型支援の強化も大きなポイントです。
よろず支援拠点の機能拡充や「地域の人事部」としての人材確保支援、小規模事業者への巡回指導など、個別の課題に即した支援体制が整えられています。
経営相談から事業承継、後継者育成までワンストップで対応する仕組みは、地域企業の底上げに直結するでしょう。
総じて、令和8年度の概算要求は「守り」と「攻め」を両立させる設計が特徴です。
企業にとって重要なのは、自社の現状や目標に最も適した施策を見極め、いかに早く活用へとつなげるかです。
当社では、こうした支援制度の選定から申請サポート、事業計画立案まで伴走支援を行っています。ぜひ制度を効果的に活用し、次の成長ステージへ進む一助としていただければ幸いです。