column コラム

2022/04/27 ブランディング

今日からはじめる「スモールブランディング」

企業のブランディングといえば、環境分析や自社の強み・弱みの把握から始まり、ブランドアイデンティティを見出し、そこから戦略を考えて・・と一大プロジェクトとして捉えられるかと思います。将来を予測することが困難な時代と言われる昨今、せっかく時間をかけて打ち出したブランディング戦略が想定していた効果を発揮しない、という事態も考えられます。

ここでは、ブランディングを身近に感じていただき、より具体的にイメージしていただけるように、「スモールブランディング」をご紹介いたします。ブランディングは大企業のみ必要となることではなく、全ての会社に必要となる概念なのです。これを読めば、すぐにでも始められるヒントがきっと見つかるはずです。

 

「お金をかけず効果を上げるスモールブランディングとは?」

「ブランディング」という言葉が与えるイメージは様々です。かっこいい、難しそう、スタイリッシュなイメージ、高級そう、大企業が得意そう、人によって抱くイメージは異なると思います。ブランディングとは、一言でいえば、「他とは違うと識別させること」です。例えば、アパレルメーカーにおいて、インパクトの強いロゴを使用することにより、他社の商品と識別されることは、ブランディングと言えます(図表1)。

上図において、左の無地の場合においては、視覚的には他社商品との違いが認識されません。一方で、右の「気持ちの悪いロゴ」を付けた場合には、このロゴがあるからこそ●●社の商品だと認識させることが可能です。但し、ブランディングにおいては、イメージも同時に認識されるため、「気持ちの悪さ」がブランドイメージとなることも意識しなければなりません。

 

それでは、「スモールブランディング」という言葉はどういう意味でしょうか。これは、中小企業様向けにコンサルティングを実施する我々が独自に名づけた造語です。敢えてブランディングという言葉を使用せず、スモールブランディングと呼ぶのは、ブランディングは大小・業種を問わず全ての企業がすぐにでも始められる手軽なものであることを強調するためです。このコラムを読めば、明日の行動が変わるかもしれません。

 

「お金をかけず効果を上げる」ことに焦点を置きながら、スモールブランディングについて具体的にお話いたします。

 

もしあなたがラーメン屋を経営していたとしましょう。父が開業し、あなたは二代目オーナーとして、ラーメン屋を運営しています。今では3店舗を経営しているものの、コロナの影響により客足が減少、収益性が悪化しています。お店の自慢は、先代から継ぎ足しで作る豚骨スープを使用した「とんこつラーメン」ですが、注文するのは新規の来店客が多く、常連客はこぞってゆず塩ラーメンを頼んでいます。お店の名前は、「豚トン丸ちゃん」です。

上記のラーメン屋において、スモールブランディングとして何から始めれば良いのでしょうか。

 

《明日からすぐに出来るスモールブランディング①:お客様をしっかりと見て発信する》

一般的に、とんこつラーメンは脂質が多くこってりしているイメージからか、普段からガッツリ食事を取りたい方に好まれる傾向にあると思います。あなたも、そうしたお客様をイメージし日々厨房でラーメンを作っており、あなたのパートナ―がお客様のテーブルへ配膳してくれています。

ここで出来るスモールブランディングの1つに、「お客様をしっかりと見て発信する」ことが挙げられます。お客様をよくよく観察してみると、実際に笑顔で食事を終えて帰るのは、ゆず塩ラーメンを食べ満足げに帰っていくお肌ツルツルの方々ばかりではありませんか!とんこつラーメンを食べて帰っていく人は、どこか不満げな顔をしています。

ここで得た気づきから、様々な行動が可能です。

例えば、店頭看板のメニュー表の見直しです。従来は、先代から続く豚骨スープがいかにうまいか、どこのブランド豚か、等を前面に押し出した白黒のメニュー表であり、ゆず塩ラーメンは隅の方に書かれていただけでした。ここで、ゆず塩ラーメンを食べる人を想定し、あっさりした印象を与える看板に変えてみましょう。すると、半年後には、お店を通る人の印象が「ガッツリ系のラーメン屋」から、「あっさり系のラーメン屋」に変わることになるでしょう。

同様に、お店の名前や店内の装飾やポスター等、1つ1つがお店のイメージを形づくっていることに気付けば、お客様の求めている理想のイメージに近づくことが出来るはずです。つまり、お店は「とんこつラーメンが美味しい」と思っていても、おそらく不味い・もしくはゆず塩ラーメンの方が美味しいのです。「豚トン丸ちゃん」には、ゆず塩ラーメンを求める人はほとんど入りません。

 

《明日からすぐに出来るスモールブランディング②:接客サービス》

①において、お店の名前やメニュー表、店内の装飾等、あらゆるものがお店のイメージを形づくっていることがご理解いただけたかと思います。ここでは、目に見えない「接客サービス」もブランディングの1つとなることをお伝えいたします。

例えば、ラーメンを提供する際に、「熱いのでお気をつけてお召し上がり下さい」と1言付け加えることを社内ルールとして決めたとしましょう。聞き流すお客様も中にはいるかと思いますが、「あぁ親切だなあ」と印象を受け、「豚トン丸ちゃん」は気分良くラーメンが食べられる店だというイメージを受けるかもしれません。これは、立派なスモールブランディングの1つであり、例えとんこつラーメンが不味くても、その一言で美味しくなるかもしれないのです。

上記観点で、お客様との接客においても、スモールブランディングが可能であることを理解すれば、明日からのお客様へのコミュニケーションが変わるはずです。

 

《明日からすぐに出来るスモールブランディング③:字体の変更》

スモールブランディングがより簡単で身近なものであることを感じ取っていただくために、最後に「字体の変更」についてお話いたします(図表2)。

上図のとおり、同じ文字であっても、字体の違いだけで与える印象が異なるのです。手書きであれば尚更与える印象が異なります。今一度字体も含めて店舗内外に向けた自社のメッセージを見つめおしてみれば、予期せぬ形のイメージや印象を与えてしまっている可能性があります。

以上、①~③について、ご紹介いたしましたが、スモールブランディングで少しずつ人々の持つイメージは変わるのです。そんな些細なことで変わるわけないと考えるかもしれませんが、その積み重ねの賜物こそがブランディングであり、人々の購買行動に大きく影響を与えます。

次回以降は、こうしたスモールブランディングをテーマとし、より実践的で、すぐにでも使えるようなものを様々な角度でご紹介いたします。