column コラム

2022/04/22 事業再生財務

資金繰り管理と早めの相談

銀行出身の中小企業診断士である事業再生専門家の視点から、事業再生の状態に陥らないために、「転ばぬ先の杖」として知っておいていただきたいことをお伝えしていきます。今回は、資金繰りの大切さと早めに相談するための具体的な方法についてお話いたします。

 

■資金繰りの重要性

会社が倒産するときは、現預金がゼロ(もしくはマイナス)になる時です。お客様がゼロでも従業員がゼロでも、売上がゼロでも現預金があれば潰れません。つまり、会社を継続するうえで最も注意すべき点は、現預金がゼロにならないための資金繰りです。資金繰りは経常的な業務運営の結果ですが、業務運営が順調でも資金繰りに余裕があるとは限りません。それは前回までに申し上げてきたとおりです。

 

■銀行へ早めに相談する必要性

どうしても資金繰りが成り立たないときは、その不足部分を会社の外部から用立てる=調達する必要があります。まず外部の調達先として検討するのは経営者個人でしょう。個人資金に余裕があればよいですが、余裕のない場合、次に検討する調達先は、取引のある銀行=メインバンクでしょう。ご存知の通り、銀行融資では銀行内の稟議が必要です。ケースによっては銀行本部の決裁が必要で、そのための資料作成やヒアリングなどに相当な時間を要します。具体的には、資金の内容にもよりますが、銀行へ融資を相談してから実行されるまでの時間は1~2カ月を要します。

また、銀行に融資の相談をしても、申し出た条件通りの融資を受けることが出来なかったり、または断られることもあるでしょう。よってこういった事情をふまえると、早めに銀行に相談すべきだと考えられます。

 

■早めに相談するために

銀行へ早めに相談するためには自社の資金繰りを早く把握することが必要です。資金繰り表作成のポイントは第2回で述べましたが、より早い段階で資金繰りを捉えるためのポイントは以下の3つです。

①受注状況・営業状況を把握する

資金繰りで一番重要なのは、入金が「いつ」「いくら」あるかを正確に把握することです。そのためには受注状況や営業状況を把握することから始まりますが、社長自身が営業されている場合は、ほぼ正確な状況が把握できていると思います。しかし、見込み数値なので、実際の売上(入金)は下回ることがあります。あくまでその場合は、売上の金額はもちろんのことですが、入金時期についても綿密に管理をする必要があります。

②支払内容を把握する

支払については大きく2種類あります。1つ目は固定経費と言われるもので、毎月ほぼ同額を支払うもので、家賃や水道光熱費等があります。2つ目は変動経費と呼ばれるもので、仕入や外注先への支払など、売上の内容により金額が変動するものです。固定経費の把握は簡単ですが、変動経費については、納品書や発注伝票を確認、外注先への発注状況を証拠資料をもとに正確に把握することが必要です。

③前年同月の状況を確認する

会社の資金繰りには「クセ」があります。「クセ」というのは、売上が季節的要因で変化するとか、賞与のように一時的な出費があるとか、その月その月で起こる特殊な現象のことです。それらは前年同月の状況を確認すれば、おおよそ把握することができます。把握する方法としては、過去の銀行口座の動きを見ることが簡単で確実です。

 

■相談するときの資料

銀行へ早めに相談しても、早く結論をもらえなければ意味がありません。早く審査してもらうためにも、以下の資料を準備して相談してください。

・決算書一式(勘定科目明細、申告書類含む) ・直近の試算表 ・資金繰り表

・資金繰り表の裏付け資料(発注書、顧客との契約書、工事現況表など)

 

■最後に

資金繰りが逼迫してくると、社長は資金繰りに奔走し、本来社長がするべき業務ができなくなります。それが売上減少などに繋がり、さらに資金繰りが悪化します。そのような状況を避けるためにも、運転資金として常に月商の1カ月分くらいの現預金を持つことを目標にして、余裕のある資金繰りを目指してください。