
第1回 資金調達の基本的な考え方
中小企業にとって資金調達は「成長の燃料」である一方、「経営を揺るがすリスク」も孕んでいます。
多くの経営者は資金繰りに追われて初めて銀行や金融機関の門を叩くケースが少なくありません。
しかし本来、資金調達は「先を見据えた戦略的な準備」であり、急場しのぎではなく、経営計画と一体化させて考える必要があります。
まず大切なのは、自社の資金需要を「運転資金」と「設備資金」に分けて整理することです。
日々の仕入や人件費を賄う短期資金と、新たな機械導入や拠点拡大に使う長期資金は、調達方法や返済期間も異なります。両者を混同したまま融資を受けると、返済負担が重くなり、経営が圧迫される恐れがあります。
次に意識すべきは「調達先の多様化」です。
銀行融資だけに頼るのではなく、日本政策金融公庫や信用保証協会付き融資、さらには補助金・助成金、リース、クラウドファンディングなど、複数の選択肢を組み合わせることで、安定的な資金調達が可能になります。
資金調達の第一歩は「自社の財務体質を正しく把握すること」です。
財務諸表を客観的に分析し、金融機関からどう評価されるかを確認する。それができて初めて、調達の戦略が描けるのです。