column コラム

2025/01/28 経営

新規顧客の開拓

新規開拓営業の目的は、まだ取引をしたことがない企業や個人に対し、魅力的な情報を届けて自社を認知してもらい、初めて自社との信頼関係を構築し、製品やサービスを販売することです。
近年目まぐるしく変化する外部環境において、新規開拓にも力を入れ、常に状況の変化に対応する必要があります。
しかし、「1:5 の法則」とあるように、新規開拓は既存取引先への営業活動と比較し、約5 倍のコストがかかります。そこで本コラムでは、新規開拓を行うための事前準備や、どのような新規開拓が効率的かを説明致します。

新規開拓の必要性
新規開拓は、企業規模に関わらず必ず必要な営業施策です。
改めて、なぜ新規開拓は重要なのでしょうか?
① 持続可能な売上成長の実現
ある程度の取引先が確保できれば、業績は安定するでしょう。しかし、既存顧客が今まで以上に発注数を増やしてくれるか、追加で契約を結んでくれるかという保証はありません。だからこそ常に新規開拓を行って受注数を増やし、企業自身の存続を図っていく必要があります。
② 不測事態の業績低迷リスクの回避
取引先の方針変更による契約終了や、ライバル企業に既存顧客を奪われてしまう可能性だってあるでしょう。またコロナウイルスのように外部環境の変化によって業績が左右されることもあります。
特に、売上の大部分が少数の取引先に偏っている場合は要注意です。その場合、1社でも取引先が減ると、大規模な売上減少となって還ってきます。こうしたリスクを低減するためにも、新規開拓が必要です。

市場調査の重要性、プロセス
「市場」とは企業が提供する商品やサービスの対象顧客の意志や感情、または意志や感情に基づいた動向と言い換えることができます。対象顧客の意思や感情は変化し続けるものであり、新商品やサービスを市場へ投入する場合は特に不可欠です。
① 調査計画の策定
いつまでに、どこで、どのような方法で、誰を対象に、どのような予算に基づいて調査を行うか、具体的に策定します。
② 情報収集の実施
策定した調査方法に基づいて調査を行い、市場の情報収集に取組みます。
③ 情報分析と結果報告
調査によって集められた情報を数値化できるものは定量評価を行い、意見や感想などは定性評価を行う等、評価方法の仕分けを行った上で分析・評価し、導き出された結論を調査概要等と共に報告書にまとめます。
市場調査後は、下記の戦略を立て、実行します。

STP 戦略
① セグメンテーション(S)
→顧客を年齢や性別、地域、価値観等の特性に基づいたグループ分け
② ターゲティング(T)
→商品やサービスを提供したい顧客の明確化
③ ポジショニング(P)
→競合他社と差別化した自社の位置付け
ターゲットが持つ特性を明確にすることで、より効率的なマーケティング戦略を立てることが出来ます。顧客に合わせた戦略を立てることで、販売コストを抑えながら成果を上げることだけでなく、顧客満足度の向上や企業の競争力強化にも寄与することが期待できます。

差別化戦略
より他社と比較し、競争優位を実現させるには、差別化戦略が有効です。
①コストリーダーシップ戦略
→他社の競合製品よりも安くすることで勝負する戦略。低価格を実現するためにコストダウンを実現する必要がある。
② 差別化戦略
→他社と明らかな特異性を作り出すことで、競争優位を築く戦略。高く売れる状態を目指す。
③ 集中戦略
→特定の製品やサービス、市場に集中することで、オリジナルの地位を確立する。
商品やサービスにおいて他社と異なった差別化戦略を行うことで、
・競合他社との価格史競争から脱却できる
・価格を下げなくても済むため、利益率が向上する
・確固たる地位を築けば、業界への新規参入を抑制できる
・自社の強みが明確となり、強みを伸ばすことが出来る等のメリットがあります。

売上増加への期待

(中小企業庁 2024年版中小企業白書・小規模企業白書概要より抜粋)

コストを把握した適正な価格の設定や、顧客ターゲットの明確化を行ったうえで新規顧客の獲得に取組むことで、売上高の増加に繋がることが期待されるという結果がでています。

持続可能な成長を求めるには?
新規顧客を獲得することは一つの大きな成果ですが、その後の顧客関係の維持と強化がビジネスの成功においてさらに重要です。顧客が一度だけの購入者で終わらず、長期的なリピーターになるような戦略を展開することが企業にとっての更なる成果をもたらします。
顧客との長期的な関係を築くためには、初回購入後のフォローアップが重要です。顧客が製品やサービスを始めて利用した段階で豊富なサポートを提供することで、満足度を高め、中長期的な関係構築につながります。
また、初回の顧客をリピーターに変えるには、顧客体験を常に向上させる必要があります。顧客の要望を積極的に取り入れ、サービスや製品の改善に活かすことがカギです。また、特別なキャンペーンなどを提供することで、顧客の関心を高め、継続的な購入を促すことが可能です。

まとめ
新規顧客の獲得は、どんなビジネスにとっても重要な目標です。成功している企業は、この目標を達成するために複数のアプローチを実施しています。
結局のところ、新規顧客の獲得は一朝一夕に達成できるものではありません。継続的な計画と実施、改善が必要であり、それには市場の動向を常に監視し、戦略を柔軟に調整することが求められます。是非コラムをご参考にして頂き、自社に合った新規顧客獲得に取組んで頂ければと思います。