「前田 節のJust method」~自社以外の分析~
ここまでは、「自社の分析」についてお伝えしてきましたが、今回からは「自社以外の分析」についてお伝えします。「自社以外の分析」とは外部環境分析のことで、大きくは「マクロ環境分析」と「ミクロ環境分析」に分けることができます。
「マクロ環境分析」の手法としてはPEST分析を実施します。PEST分析とは「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」という4つの切り口で事象を分析することです。重要なポイントは、今後変化が起こる事象、今後も変化がない事象など「変化」をキーワードとして項目を抽出することです。
「ミクロ環境分析」の手法としては、様々な手法があり、5フォース分析、業界動向調査、消費者動向調査、商圏分析、競合分析、顧客満足度調査、消費者ニーズ調査などがあります。
各種分析の中で5フォース分析が全ての調査を集約できるフレームワークであるため、詳しくお伝えします。自社を取り巻く環境を5つの「力(フォース)」について分析します。
<5フォース分析の5つの力>
① 既存企業との競争(業界内での競合)
自社が属する業界内での競合他社を分析します。業界内に多くの競合が存在する場合には、価格競争や製品のイノベーションなど、競争の激化が予想され、差別化も難しくなります。
② 売り手(サプライヤー・供給者)の交渉力
自社と仕入先の力関係を分析します。自社の仕入先の交渉力が強いほど仕入れコストは増加し、自社の利益は減少します。逆に自社が交渉に有利な立場であれば仕入れコストは減少し、利益が増えます。
③ 買い手(バイヤー)の交渉力
自社と販売先(消費者、購入者)との力関係を分析します。一般的には製品やサービスが標準化(差別化が難しい)されているほど買い手の交渉力は強まり、企業の利益は減少する傾向にあります。
④ 業界への新規参入者
業界への新規参入者を分析することで、新たな競合による影響を指します。自社にとって有利なビジネスモデルを保有していたとしても、模倣が簡単であった場合には、同じ市場に新規参入され、先行優位性はすぐに失われてしまいます。
⑤ 代替品の存在
代替品と自社製品との質的な違い、コスト差、代替品へ乗り換える際の手間やコストなどを分析します。自社の物よりも低価格で高品質な代替品があれば、それは自社だけでなく市場全体の収益をおびやかす大きな脅威となります。