column コラム

2024/01/17 組織経営

BCPの策定~緊急事態に備えて~

新年を迎えて早々に北陸地方を襲った能登半島地震では、多くの方々が被災され、甚大な被害を及ぼすとともに、経済や地域産業にも大きな打撃を与えています。地震に限らず、感染症の蔓延、自然災害による被害は年々増加傾向にあり、発生頻度も少なくなく、防災対策への意識が高まっているように感じます。
災害が発生する度に、ニュースやSNSで、被害状況が取り上げられていることも、防災への関心を高める一因となっています。

被災した場合にあっても、被害を抑えつつ災害から早期に復旧させ事業を継続する必要があります。その対策として企業にはBCPの策定が求められています。
BCPとは、Business Continuity Plan(ビジネス・コンティニュイティ・プラン):事業継続計画の略称で、災害や事故、感染症の蔓延などの緊急事態において、事業を継続するための計画や対策のことを指します。

中小企業がBCPを策定する場合、どのような内容を盛り込むべきか。中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」では、BCPには以下の5つのポイントがあるとされています。

1. 優先して継続・復旧すべき中核事業(会社の存続に関わる最も重要な事業)を特定する
複数の事業の中から、災害が発生したあとに優先的に復旧する事業をピックアップします。緊急事は平常時と同様の体制で事業を継続することが難しいため、会社を存続することを第一に考え優先して継続すべき事業を絞り込みます。

2. 緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
経営を存続させるために、中核事業の復旧時間を目標として定めます。ただし、目標を定めていたとしても緊急時には想定外の状況になることもあるため、被害規模から状況を判断して復旧までの期間を再設定することも重要です。

3. 取引先とあらかじめ緊急事について協議しておく
災害時の限られた物資やインフラのなかでは、平常時と同等のサービスレベルを確保できるとは限りません。そこで、顧客や取引先との間で緊急時の体制も含めて協議します。例えば、「平常時よりも納期を3日後ろ倒しに設定する」といったように、具体的なサービスレベルを設定しておくことも大切です。

4. 事業拠点や生産設備、仕入品調達などの代替策を用意しておく
事業拠点や生産設備、部品や原料などの調達先を1ヵ所に集中させるのではなく、複数に分散することも重要です。
自社復旧後に事業のストップを未然に防止でき、万が一の場合でも早期の立て直しが可能となります。

5. 従業員と事業継続についての方針や内容について共通認識を形成する
事業復旧に向けた体制を社内で確保する必要があります。責任者を決めると同時に、責任者が出社できない場合も想定し、代理責任者を複数選定しておくことも重要です。さらに、個々が緊急時に取るべき行動をマニュアルとしてまとめて従業員へ配布し、従業員自身が適切な行動を取れるようにしておくことも必要です。

以上の5つのポイントをベースにして、自社の状況に合ったBCPの策定・運用を実施しましょう。策定・運用の具体的方法について、中小企業庁のサイトでも詳しく説明されていますので合わせてご確認ください。