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2023/03/02 補助金

「小規模事業者持続化補助金と 実際の活用事例」

「小規模事業者持続化補助金と 実際の活用事例」

 

働き方改革、被用者保険の適用拡大、インボイス制度の導入などの制度変更が、ここ数年にまとまって実施されており、小規模事業者は従来の経営安定のための取り組みに加え、制度変更にも柔軟に、かつ、タイミングよく対応することが求められています。その取り組みを支援するために設けられているのが、小規模事業者持続化補助金です。

 

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取り組みを支援するために、それに要する経費の一部を、国(中小企業庁)が補助するものです。

 

補助金の対象者は、下記に該当する「法人、個人事業、特定非営利活動法人」です。
① 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数 5人以下
② 宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数 20人以下
③ 製造業その他:常時使用する従業員の数 20人以下

 

その他、資本金や出資金、株式保有や、課税所得平均額などによる要件が設定されています。詳しい内容についてはぜひ、お問い合わせください。
また、補助金申請には様々なジャンル(類型)が定められています。

 

【申請類型一覧】

小規模事業者持続化支援金ガイドブック 第5版(2022年10月3日)全国商工会連合会

小規模事業者持続化補助金HP

 

経費補助の対象となる科目は以下が示されています。
*内容によって対象とならない場合があります

 

【補助対象となる経費】

小規模事業者持続化支援金ガイドブック 第5版(2022年10月3日)全国商工会連合会

 

小規模事業者持続化補助金が採択された事例をご紹介いたします。

 

【事例1】A社(自動車整備業)

 

「ガソリン車整備から次世代型自動車整備と洗車サービスで新規顧客獲得」

 

A社の強み
・ 3代続く自動車整備工場で、古くからの顧客が多く、取引先とも信頼関係があり安定的な継続受注がある
・ 長く働く整備工が多く、技術力が高い

 

小規模事業者持続化補助金の経緯
・ カーボンニュートラル化社会の実現に向けて、ガソリン車から電気自動車へとニーズが急速に転換している。
・ 今のままガソリン車のみの整備を続けていると、事業が先細りになることは明白。
・ そこでハイブリッド車を皮切りに、自動運転車両、電気自動車などの次世代型の整備スキルを社内全体で獲得することが急務。
・ しかしそれにはやや時間がかかることもわかっているので、さらにこれまで取り組んでいなかった洗車サービスにも新しく挑戦する。

 

補助金活用分野
・ 通常枠/機械装置等費

 

補助金採択後の変化
・ 顧客新規開拓の手始めに自動洗車サービスのための機器を導入。操作できる従業員を複数名育てている。
・ 近隣には洗車サービスはガソリンスタンドしかないため、まずはチラシポスティングで地域の潜在顧客の創出に取り組んでいる。

 

A社は、時代の変化を見越した大きな挑戦に取り組むとともに、これまでの業務で無理なくチャレンジできる洗車サービスをスタートさせました。通常枠の補助金額はそれほど大きくありませんが、経営計画を作成し、設備投資を回収できる期間を見越して着手していますので、経営者は未来への見通しが良い状態で取り組むことができています。

 

【事例2】B社(製造業)

 

「インバウンド観光客対応と海外顧客の創出のために、海外向けのウェブサイトの作成」

 

B社の強み
・ 地元では有名ないちご農園。作るいちごは大粒で甘くて美味しいと評判が良い。
・ 農園主は40代の若手で、地元小学校と協力していちご狩り体験を企画したり、いちご栽培教室をオンラインで開催したりするなど、新しい取り組みに明るい。

 

小規模事業者持続化補助金の経緯
・ コロナ禍において大人数がビニールハウスに集ういちご狩り体験の開催が難しくなり、販路の新規開拓が喫緊の課題となった。
・ コロナ禍以前に受け入れを始めたばかりだった海外観光客向けのいちご狩り体験を、旅行会社に頼ることなく再開させたいという思いがある。
・ 日本の果物は美味しいという海外のフルーツ愛好家の声を知り、海外を新規販路とすることにした。
・ そこで、これまで日本語のみ対応だったいちご農園のHPを、新たに英語・中国語・韓国語の多言語に対応できるよう改修することにした。

 

補助金活用分野
・ 通常枠/ウェブサイト関連費

 

補助金採択後の変化
・ コロナ禍で海外観光客が減少している間にHPの改修を終え、これからのインバウンド客の復活に期待している。2023年の日程では、個人旅行者・グループからの問い合わせが1日複数届くようになり、予約が入るようになった。
・ 海外の個人顧客だけではなく、フレンチレストランなどからも問い合わせがくるようになり、今後は外国語で対応できるスタッフの雇用も進めたいと考えている。

 

これまで国内の顧客だけをターゲットとしていた小規模事業者も、補助金を活用すれば様々な形で海外へと販路を拡大することができるという好事例となっています。

 

以上、小規模事業者持続化補助金についてご紹介しました。新しい業態や新規顧客の獲得に挑戦したいが経費が心配だというお考えの小規模事業者の方は、ぜひ一度ご検討ください。