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2023/01/09 補助金

ものづくり補助金と実際の活用事例

「ものづくり補助金と実際の活用事例」

 

ここ数年のコロナ禍で、業態転換や新規事業への挑戦に取り組んだという事業者も多いはずです。また、働き方改革やインボイス導入などの制度変更もあり、事業者は「変化に対応し続けること」を迫られている状況です。

今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に企業が対応するべくおこなう、革新的なサービス開発や生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するのが「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」、いわゆるものづくり補助金です。 “ものづくり”をされている製造業に限らず、卸売業、サービス業、小売業等、広く中小企業者を対象にしています。

また、新たな支援枠として以下の3つを設け、補助率や補助上限額を優遇し、積極的な支援を展開しています。

・業況の厳しい事業者向けの【回復型賃上げ・雇用拡大枠】

・グリーン分野(カーボンニュートラルなど)分野で生産性向上に取り組む【グリーン枠】

・DXに資する革新的なサービス開発やデジタル技術による生産性向上に取り組む【デジタル枠】

 

具体的には、

「既存の製造設備が古く、生産性が低い」
「既存の設備では、付加価値を高めた製品を製造することができない」
「引き合いがあるものの、既存の設備では、要望がある製品を製造できない」
「新たな設備の導入で、販路を拡げることができ、売上を増やすことができる」等、
設備投資する上での資金面に課題を抱えている事業者を支援する補助金と、お考えいただければと思います。

《ものづくり補助金について》

当社が実際にご支援し、ものづくり補助金事業が採択された事例をご紹介いたします。

 

【事例1】A社(製造業)

「精密板金加工会社の生産性向上と販路拡大が実現」

A社の強み

・薄板を使ったレーザー・曲げ・溶接といった板金の一連の工程を自社工場で対応できること。

・大型資材を扱う精密板金加工会社として、品質・コスト・納期においても得意先空調メーカーから高い評価を得てきた。

ものづくり補助金活用の経緯

・その得意先空調メーカーへの売上構成比が90%近くにまで達したことで経営リスクが高まり、新規得意先の獲得が必須となった。

・近年の原材料等の物価高も加わり、さらに高い生産性向上の実現によりコスト削減を図ることが必要である。

・新規取引先からの新しい鋼板の板金加工の依頼について、技術的には可能でも、今ある設備では対応が難しく、新しい設備投資にものづくり補助金の活用を決断した。

補助金採択後の変化

・新しい鋼板の板金加工に取り組むことができている。

・加工できる範囲が広がったことにより、さらに新規の加工依頼が入るようになった。

 

A社は、補助金を活用して最新機械を導入することで、自社の強みである技術力をさらに強化し、生産性の向上と販路開拓に繋げられた好事例といえます。

 

【事例2】B社(飲食店)

「飲食店のセントラルキッチン化で、生産性向上とテイクアウト・卸売りによる販路拡大が実現」

B社の強み

・地元で有名な居酒屋やイタリアンなどの飲食店を複数展開している。

ものづくり補助金活用の経緯

・コロナ禍の前から各店舗のオペレーションの効率化が課題となっていた。

・逆境のなかでも新業態のうどん店の開店計画があった。

・この新店舗のキッチンに、最新鋭の製麺機等の機器を導入し、当社全体のセントラルキッチンとする計画を立案。ものづくり補助金を活用し、うどん店の機械化による効率的運営と、既存店舗のオペレーション効率の課題を一気に解決することにした。

補助金採択後の変化

・新規うどん店のセントラルキッチン化を実現。

・最新鋭の製麺機で製造した麺は冷凍し、商品として販売する計画。

・店舗に来店してくださるお客様に食べていただけるだけでなく、テイクアウトや外販など、販路が広がることで業績が回復することが期待されている。

 

B社のような飲食店でも、ものづくり補助金を活用して最新機械を導入し、生産性の向上と販路開拓に繋げられるという好事例となりました。

 

【事例3】C社(食品製造業)

「最新設備導入による効率化、賞味期限の長い製品開発による商圏の拡大」

C社の強み

・菓子製造業者として実績があり、伝統的手法を用いた高い技術力を有している

ものづくり補助金活用の経緯

・大手スーパーからの引き合いがあるが、製造体制が整っておらず対応できていない

・賞味期限は5日と短いため、納品先は当社周辺エリアに限定されている

・上記課題解決の為、ものづくり補助金を活用し製造ラインに最新設備を導入

補助金採択後の変化

・製造工程の短縮化により、生産個数が1.5倍になり、大手スーパーへの納品を開始

・今まで製造工程に配置していた人員の3割を、手造りにこだわった付加価値の高い商品の製造に回せた

・賞味期限が2倍に延び、他府県の小売店への営業を開始。順調に商談が進んでいる

 

C社は地元のファンも多い老舗メーカーです。

最新設備の導入に際して、手造りの良さが無くなるのではという不安を感じた社員もいましたが、設備メーカーと打合せを重ね、C社の伝統的手法を機械の性能に上手く取り入れることに成功しました。

結果、量産と品質の保持を同時に叶えることができました。

 

以上、ものづくり補助金についてご紹介しました。

業種を問わず、特に、設備投資をして生産性向上を行ったり、新規顧客の獲得に挑戦したいとお考えの事業者の方は、ぜひ一度ものづくり補助金の活用を検討してください。