column コラム

2022/06/14 財務

価格設定について

ジャストコンサルティング(JC)蛭牟田です。

 

コロナ禍において業績が悪化する中、追い打ちをかけるように円安やウクライナ問題により原材料の輸入価格が高騰し多くの企業において収益を圧迫しています。

原材料の高騰は今後も長期化することが想定されることから、コストの見直しのみではなく、販売価格の値上げで利益を守ることが目下の課題となっており、どの様に販売価格に転嫁させていくかというプライシング(価格)戦略に注目が集まっています。

 

中小企業の多くは、いずれ価格に転嫁しなければならないと感じてはいるものの値上げをすれば顧客離れが進むのではないかという不安から値上げをできないでいます。

この価格値上げにおいて重要なのは、商品やサービスの合理的で戦略的な価格設定を行うことにあります。

 

例えば、1,000円で月に100個売れる商品があるとします。

売上高は月に100,000円です。1,000円を高いと思うか安いと思うかは人それぞれですが、値上げを行えば高いと思う人の比率は当然増加し顧客離れが起こる可能性は高まります。

 

この商品を1,500円に値上げした場合、値上げ前の60%にまで販売量が減少すれば月の売上は90,000円となり売上的にはマイナスとなります。1,300円に値上げした場合、80%が継続して買い続けるとすれば月の売上は104,000円となり当初の販売価格よりも売上は増加します。

また原材料費が変わらない場合利益ベースでは値上げした分が上乗せされます。

 

以上のことから自社の商品・製品の価値を正しく認識したうえで、価格と販売数の関係を理解し、多くの消費者に受け入れられる価格帯を把握することが、プライシングに必要なことです。

 

顧客満足度向上プラットフォームを運営する㈱ROIが、インターネットによる一般消費者1,000人に対して物価高騰の意識調査を実施したところ、7割近い消費者が原材料価格の高騰を認識し、値上げを仕方がないものと捉えているという調査がでています。

 

今が販売価格の値上げのチャンスであり、適正価格の再設定を行うべきであり、このプライシングの成否が今後の収益力の改善の成否を分けるといえます。