column コラム

2021/10/07 組織経営

職場環境を向上させる”業務効率化”

(第47話)

「職場環境を向上させる“業務効率化”」

 

経営者の皆様から「業務効率化に向けて何か良いITツールはないだろうか」、「最近、新しくシステムを導入したのに、今一つ、導入効果が得られていないように思う」というご相談を頂く事があります

 

例えば、「生産進捗状況がタイムリーに把握できないので、進捗状況が分かるITツールを導入して改善を進めたい」と言ったご相談や、「各部門から紙ドキュメントで報告される品質情報を毎週、データ入力作業している工数を削減したい」といったご相談、他にも「取引先からファクスで受信する注文書を効率的に発注システムに入力したい」など、業種・業態によってご相談頂く課題は様々です。

 

ご相談を頂いた際、最初に確認させて頂くのは、現状の業務フローについてです。例えば、作業指示書は誰がどのタイミングで記入し、工程間をどのように流れて行くのか、その流れの中ではどのような不具合が発生しているのか、など、情報の流れを一つ一つ、追いながら、ヒアリングをさせて頂きます。

 

ヒアリングの結果、会社の中を情報がどのように流れているのかが曖昧で、全体が把握できていない場合が多く見受けられます。

それぞれの部門は自部門での情報の流れは理解していても、その情報が前後の工程となる部門でどのように扱われ、どのように管理されているのかは理解していないのです。

 

そのような状況で、いざ、「ITツールを導入して業務改善」となると各部門単位での取組みにフォーカスし、部分最適化を進める傾向が強くなります。結果、導入されるITツールは部門単位でバラバラになり、重複作業が取り残されるだけでは無く、知らず知らずの内に、隣の部門に新たな問題を発生させている場合もあります。

 

そこで、会社内の全体的な情報の流れを共通のドキュメントに取りまとめ、全部門で課題共有をした上で、改善策を検討し、全体最適化に向けた取組みを進める必要が出て来ます。

 

具体的にはヒアリングさせて頂いた各課題と共に業務フロー図にまとめていきます。ドキュメント化する事により、全体の課題を「見える化」します。これまではぼんやりとしていた課題が明確になり、改善すべきポイントが見えてきます。

 

業務フロー図という共通のドキュメントを各部署のメンバーが一緒に確認することで、これまで、見えなかった問題発生要因などがより具体的に捉えられます。

 

もし、この段階で情報の流れ自体が不自然であれば、先ずは流れを整流化するところから始めようという事になります。紙媒体の段階で情報の流れが管理できていなければ、ITツールを導入しても期待したような改善効果が得られない可能性があるからです。

 

さらにIT化を進める中で多く寄せられるのが「紙ドキュメントを電子化したい」というご相談です。紙はパラパラ見など、閲覧や書込みなど、情報を活用する面では非常に有効なドキュメント媒体ですが、検索や保管といった場面では電子データが優れているのも事実です。電子化する事により、検索や共有に要する時間を大幅に軽減する事が可能です。

 

 

Richard Swenson著の”The Overload Syndrome: Learning to Live Within Your Limits”という本によると、平均的なデスクワーカーは1週間に3時間を書類探しに費やしているそうです。

 

ただし、電子化する際には、電子化すべき対象範囲を絞りこむことが重要です。一言に電子化と言っても、紙ドキュメントをスキャンする作業の他に電子化されたファイルのリネーム作業なども含めると、多くの手間と時間が必要となるからです。

 

アメリカのNational Record Management Council(通称:NAREMCO, ナレムコ)によると、作成・収集された文書のうち、半年後も利用される文書が10%、1年後には1%の文書しか利用されないとの報告があります。無駄なコストを抑える為にも先ずは、「今期発生したものから」など範囲や優先順位を定めることが重要です。

また、電子化していく優先度としては、頻繁に利用するドキュメントなのかどうか、共有して活用される頻度が高いのかどうかなどを基軸に分類していきます。

以上のようにITツール導入に際しては、先ずは自社の業務の流れを棚卸し、それぞれのドキュメントの持つ意味(役割、重要性、保管期限など)を明確にしていくことが重要になります。弊社では各部門のヒアリングから業務フロー図作成、課題抽出支援など業務改善に向けた各種支援サービスをご用意しております。業務効率改善に悩まれた際には何なりとご相談ください。