組織における「笑い」について
ジャストコンサルティング(JC)の中井です。
新型コロナウィルス感染症の新規感染症の数が日に日に減少を続け、収束の時期が近付いていることを期待させます。長く先の見えない状況が続いたことで社会全体が閉塞感で覆われていたように感じます。
今回は企業組織における「笑い」についてお話したいと思います。
オンライン英会話を運営する企業が今年2月に実施した調査によると、コロナ禍前と現在の比較で、約6割の人が「コロナ禍で会話が減った」と回答しています。
同じ調査の中で、コロナ禍の前と現在とで、55%が雑談の時間が減ったと回答、その内の約半数は「笑いの回数が減った」と回答し、「ストレスが溜まりやすくなった」とする回答は67%に上っています。
世界最古のマネジメント雑誌とされているハーバードビジネスレビューですが、ここ数年、組織における「笑い」の効用についての論文がみられます。
いくつか紹介しましょう。
遠慮なく笑い合える職場もあれば、ちょっとした雑談さえ憚られる職場もありますが、
気後れなく笑える職場環境は、業務を行う上で必要なものだというのです。
笑うことは、ストレスや退屈さを軽減し、エンゲージメントや幸福感を向上させるばかりでなく、創造性を高め、チームの協力を促す上、分析の精密さや生産性の向上をもたらすというのです。コメディーの動画を1本見た従業員は、他の従業員と比較して生産性が10%高かったとの実証結果も出ているのだそうです。(The Benefits of Laughing in the Office, November 16, 2018.)
人は通常、1日に約18回笑い、内、97%は誰かと一緒に笑う。つまり、私たちは一人で笑うよりも他の人と一緒に笑うほうが30倍も多いのだそうです。研究によると、人が笑うことの80%は、実際にはそれほど面白くない。つまり、人は、人と一緒に笑うために笑うというのです。
笑うことは心身の健康を保つうえで重要です。リモートワークにより、笑いの機会は激減しました。リーダーの務めは、チームを社会的、心理的、感情的につなげることであり、笑いは、チームの感情的なつながりを維持する最善策の一つである。よって、そのために時間をかけ、余裕を持つ必要があるというのです。(Laughter Will Keep Your Team Connected – Even While You’re Apart, May 27, 2020.)
言うまでもありませんが、従業員は、生産機械ではなく、それぞれが感情を持った人間です。組織とは、構成員の機能のみが足し合わせたものではありません。一人一人の人間が互いに影響を与え合い、人間関係により、有機的に結びついたものです。
殺伐とした空気の中で、黙々と働くことが、必ずしも、生産性を高めるものではなく、個人の機能を連携させただけでは、組織としての付加価値創出を最大化させることが出来ない。リモートワークが拡がりをみせる中でチームをつなげる「笑い」の生み出す価値が見直されているのかも知れません。